心が動いた話

「明日への言葉」を含め、ラジオやテレビ番組の感想を書いています。

仮設住宅に帰る気持ちをやわらげた音楽活動

今日のお話は「震災を農民楽団で乗り越える」チェロ奏者の吉田美和さんでした。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~



<http://1000cello.vc/2014touhoku.htmlからの抜粋です。>


震災の時、音楽家の方が「音楽なんてやっていていいのだろうか、音楽なんて何の役に立つんだ…」と嘆いておられた声を幾度も聞きました。確かに着の身着のままで寒さをしのぎ、何が起きているのかまだ判然としない時に音楽は頭にありませんでした。けれど命をいただいて生きていこうとする時、大変な時だからこそ必要なのが音楽だということを身をもって体験しました。


 私は震災直後から、市役所に集まってくる多くのおにぎりを各避難所へ分配するおにぎり隊に参加していました。寒い時期でしたが暖房器具がなにもない中で動いていました。作りたての、ホカホカと温かいおにぎりのたくさん入った段ボール箱に抱きついて「あったかいねぇ、みんなに温かいの食べてもらいたいねぇ」と言い合いました。


 電気が通っていないので情報はラジオだけ。そのラジオで流れているのは、亡くなった人の名前と、どこの避難所に誰がいるか(生きているか)という内容ばかりでした。その情報に聞き耳を立てながら、皆、妙にハイテンションな状態で働いていました。そんな時アナウンサーの方が「子どもたちもラジオを聴いていると思うのでどうぞ」と、アンパンマンの歌が流れてきました。それまで、興奮状態でがやがやしていたみんなが、笑顔で、でもぽろぽろ泣きながら聴き入りました。久しぶりに耳に入ってきた「メロディー」でした。


 また、約1ヵ月ぶりに電気が通った翌朝、避難先の家のテレビをつけると、BSテレビで弦楽四重奏が流れていました。テレビの前でしばし身動きができないくらい感動し、私が今、必要なのはこれ!と思いました。真っ暗な瓦礫の山のなかで、いつも通りの気持ちを保つので精一杯だったことにその時、気づかされました。


 震災後、多くの支援コンサートが大船渡で開かれました。これまで遠い存在だった巨匠と呼ばれる方から、心づくしの子どもたちの演奏など、たくさんの方々に来ていただきました。私たちは震災でひどい目にはあいましたが、特に我慢している気もなく、普段の日常の生活を送っていると思っています。でも、心のこもった音楽を聴いた時、心が解きほぐされ、温かい涙を何度も流しました。音楽の種類に関係なく、音楽には本当に力がある、困難なときにこそ必要なものなのだ、と心から思います。


 大船渡市で今、チェロを弾いているのは、私一人だけです。いつも一人で弾いているので、1000台ものチェロが、東北の地に並ぶなんて夢のようです。皆さんとの演奏を楽しみにしています。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

吉田さんは、ここの活動に参加することで「仮設住宅に帰る」

やるせなさを忘れていたそうです。

http://blog.livedoor.jp/tohokunoumin/




それを聞いて、本当に仮設住宅の暮らしというのは

つらいんだなぁと感じました。


仮設住宅の大変さは、きっと私の想像を超えるでしょう。



でも、そんな時、彼女の心を救ってくれたのは

音楽だったのだそうです。



番組の中で流された彼女のチェロの独奏は

こころに静かにしみ渡る素敵な演奏でした。